2011年02月26日

1996

1996年頃の事、バイビジブルで釣りをした。

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白神山地の奥へと、谷地田氏の案内で岩魚釣りに向かった。

7月中旬の真夏日。川は渇水。川の中は緑色の苔が腐って、既に茶色に変色し好ましくない臭いを放っていた。渇水の炎天下は決してフライフィッシングにはよい条件ではないものだ。

しかし、彼は意外にも、ベストコンディションだと言い放った。

その根拠は?と尋ねると、渇水でルアーや餌釣りは暫く川に入っていないであろう、たとえそれらが入渓したとしても日が高くなれば帰ってしまうさ!
 それが答えだった。
 実は、常にハイテンションな彼の言葉に、信憑性は感じられなかった。 それでもその勢いで小さなドライフライを選んで二人は川へと足を滑らせた。

 渇水で小さいフライで遠くに飛ばしても見えるフライと考えコーチマンパラシュート14#を結んだ、コガネムシとかアリとか、陸生昆虫が枝を伝わり水面に落ちるのではないかと、考えてみた。
開けた大きな川だし、プールの岩肌には枝が垂れ下がりいかにも、と思うポイントにフライを飛ばすのだ。

 この頃の好きなフライはコーチマンで、いつでも期待を裏切らない自信のフライだった、サイズは12#でフッキングが悪いときはサイズを落として14#にする位だった。
リーダーは9フィートにティペット1mが、当時のロングシステムだった。
 
この頃は大物一発勝負の釣りをしていた。大物はプールに潜むと決めつけそのプールの流芯の大場所だけしかフライを投げない、そんなバブリーな釣り方をしていた。
しかしこの渇水の条件では流れのある浅い瀬の水通しのよいポイントに魚は集まっていて、浅い瀬を釣るのが普通だ、そしてそこには尺に満たない岩魚がフライを取り合うかのようにフライに食いついてくるのだった。
 尺、意外は入らないと彼に断言して来たので、大場所にしか目をやらないでいた。そんな事はお構いなしで、彼は尺には満たないが丸々と太い岩魚にフライを壊され、竿先を水面に突っ込む勢いの岩魚に遊ばれていた、時には川を走らされていた。豪快に谷に響き渡る大声で楽しむ彼は、白神のどんな野生も恐れる、怖面だった。
 (尺以下はいらないなどと贅沢に話をしているが、当時は尺が釣れたら100枚写真を撮るようにと、お達しがあったのでした)巨大渓流漁やスチールヘッダーなどの本に使いたいから、大物の写真は必須科目のようになっていた。そんな事もあって大物一発勝負の釣りに没頭し、釣れたらのために重いカメラをぶら下げ、博打フライフィッシャーになっていた。

100匹釣っても一匹の尺に負ける、その言葉が常に離れなかった。
 
谷が深いので川に日が差すのが9時30分、ここから日向と日陰か生まれる、魚はどちらに付くのか・・見極めがはじまる、ここの大物は何処に定位するのだろう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 気温が高くなると谷には風が遊びに来る、風には神風と意地悪風が同居する。
プールの流芯に大岩魚が浮くタイミングで意地悪風が付きまとう。
 大物は遠くに居るもので探しだしたらロングキャストは絶対不可欠となる、ティペットを長くしてのロングキャストは向かい風ではかなり苦労するもの。
 しかし、このステージだけは意地悪風に勝たなければそれは、手に入らない。

 風は見方につけるのが賢い方法であり、強い風は山を揺さぶり木々の枝を震わせ、休んでいる虫達を飛び立たせ水面へと叩きつけてくれる、それを知っているから魚は水面へと浮上してくるのだ。
水面の先には鼻を突き出し食事する岩魚が見えている、そこへフライを届けるだけでよい、許されるものならファーストアプローチで・・ が理想像だ。
意地悪風も一瞬だけチャンスを与えるもので、魔“が差したかのように風を止めてこちらに最高の条件を与えるのです、ミスキャストしたら大笑いされさらに風は強くなり、それが成功した暁には、至福の大物が手に入る。

 この日、水面がざわめくこのプールで浮力の王様バイビジブルを結んだ、10#のバイビジブルは水面高く浮くのでシルエットがボケて飛び立った瞬間の虫に見えたり、風に転がされ、それがまた自然な虫に見えたりする、そんな勝手な思い込みで使った。

 このポイントでは尺岩魚が3匹縦一列に並んでいた。
谷地田氏とそれらを観察しながらどう釣るか話し合った。下から順番に釣れる魚と判断して狙う、その順番は岩魚だからできるのであって、ヤマメなら下から釣るなんてことはしない、ヤマメの掟と岩魚の掟とはまた、少し違っているのだ。
そして頑張れ!と言い放って彼は遠巻きに上流のプールへとすすんだ、更に大きなのがそこには居るのを彼は知っていたからだ。

 風を見方にするんだ・・そして一瞬風が止んだ。
水面は フラットになり魚はよく見えた、バイビジブルが20m先の岩魚の鼻に届いた。
岩魚は身体ひとつ右に寄って大きくフライを押さえ込んだ。
ラインが長いので大きく派手な合わせになった。テンションが伝わり感触はあった。しかしフライは水面に弾かれた。えっ!と思った瞬間、また意地悪風に笑われた。
 
 まだ大丈夫、まだ別が居るじゃないか、フライを整え再度挑戦した。
風を利用しフライは再び完璧に鼻を捕えた、突き出た鼻はオスの鼻だ、フライは波紋とともに水没し2度の失敗はしないように。
・・遅く。待って。待って。ビシッとフッキング、尺をゆうに超えていると合わせにも力が入る。そして悲劇は起こった、口の隙間からバイビジブルがポンッと抜けた、自分には音が聞こえたように感じた、岩魚はハックルが厚すぎてフライを潰そうとはしてくれなかった。
そして最後の大物は残念だが危険を察して沈んでいってしまったのでした。
 
 バイビジブルを手にとり事の全てを反省した。あらゆる角度からみてみると、ハックルはビシッと密に巻かれ、タイイングテクニックは完璧だ、しかしフライは冷静に見ると亀の子タワシのように見える。水面を転がり魚の口に入った瞬間、魚は食べ物かどうかを暫し考えたのだろう、口で潰そうとしたときにネコジャラシの食感に、魚は飲み込みなかったに違いない。
この後、このフライはフライボックスに戻されなかったように思う。
 
 何年か後、西山徹氏のビデオガイドで一緒になった、ニューパターンでハイフロートバイビジブルなるものをフライボックスからだして自慢された。ゲッ!新タワシ?私の心にトラと馬が同居した。そのビデオでは岩見川でエルクヘアカディスを使い、バシバシッ釣る西山氏がいた。
 今でもバイビジブルは好きなフライである。現在ではハックルはコックでダンなど少ない回転で巻いていて、丁度ネコジャラシのような感じです、ボディが透けるのでボディは勝負所。そんな気持ちでクラシカルを楽しんでいる。ハックルの下をカットはしない。
・・・・・・・カットは3Qカット。 (^^)V

クラシカルなフライを見直しましょう。
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posted by Rhogan at 18:24| Comment(0) | Terrestrial | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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